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勝利者達

ジェームス・B・ヘイバーン氏へのインタビュー

競争における情報力

 

CNBC: ビジネスにおいて競合他社との戦いを勝ち抜く為には、先を読んだ鋭い情報力が不可欠です。では、ビジネスの重要な鍵とも言える競争上の情報の優位性を、ジム、あなたはどのように獲得していますか?

ヘイバーン: そうですね、まず知識と言うのはビジネス、そして人生においても自分自身の大きな力となるものです。故に、あなたの周りの世界で起こっている情報を掴み取り、それによって生じ得る変化への対応をいち早く行う能力は、競争上の優位性を保つ為に必要不可欠なものです。古い話ですが、ウェリントンとナポレオンの戦いを例にお話しましょう。その戦いにおいて、ウェリントンの持つ兵士の数はナポレオンの10分の1の数でした。その上ナポレオンは最強の軍隊と豊富な資源を持っており、明らかにその戦いを支配しているように見えました。しかしウェリントンが持っていた秘密の武器は、ナポレオン軍に関する競争上の情報でした。彼の兵士達は大胆にもナポレオン軍のキャンプへ秘密裏に赴き、様々な情報を掴んでは密な報告を行いました。これらの情報によってウェリントンは競争上の優位性を獲得し、結果的にナポレオン軍に勝利することが出来たのです。そしてこの情報力こそが、今日のビジネスにおける競争において、必要とされているものなのです。

 

CNBC: つまり、マイクロソフトの人々がIMBの製造工場を歩き回ると言ったような?

ヘイバーン: それには及びません、又それが法律上正しい行為とも思えませんしね。競争を有利に導く為に必要な情報の多くは、公的な情報源から得られるものです。そして実はそれこそが、競合他社の動向を探り当てる最も効果的な方法でもあるのですよ。ビジネスにおける様々な情報、例えば、競合他社の製品特色、価格設定ポリシー、顧客ターゲット等々は公の情報源から得られるものです。ポイントは、これらの情報を系統だった方法で効率よく集め、組織内の人々に伝達できるかどうか、という点でしょう。それによって、組織内の人々はこの情報や状況にそれぞれ適切に対応することができるのです。

 

CNBC: どのような基本的な情報源を利用することが望ましいのでしょう?

ヘイバーン: そうですね、基本的な情報源とは、何よりも顧客ニーズの理解から得られるものです。私達は、商品の購買者層や顧客の志向の変化を素早く見抜き、競合他社の先を読まなければなりません。この追跡を緻密に行うことで、変化する顧客ニーズを満たす為に競合他社がどのような動きをとるかを事前に予測し、先手を打つことができるようになるのです。

 

CNBC: インテリジェンス・情報という言葉を使うと、ジェームス・ボンドや偵察衛星などのようなイメージが浮かびます。実際、情報収集における合法、違法の線引きは紙一重でもあります。では、あなたの国の法律上において、この線引きをどのように認識していますか?

ヘイバーン: ビジネスにおける情報収集の発展を行う際に、法に触れるような手法をよしとする人は誰もいません。事実、専門的に情報を扱う分野には厳しい倫理上の規制が設けられており、企業秘密に関わる資料へのアクセスや施設等への違法侵入などは、勿論このビジネスにおける倫理範囲内の行動ではありません。そして、実際のところ、それらは必要な行為ではないのです。実際、競合他社からの情報収集で大きな成功を遂げた企業の多くは、それらを公的な情報源から行っています。例を挙げましょう。1950年にアメリカのアンペックス社によって開発されたVCRは、公的情報源からその詳細な技術情報を得たJVC社によって後に商品化されました。更には、今日フラットスクリーン技術のパイオニアとされる、これも日本企業のシャープ。実は彼らは、1970年代にフラットスクリーン技術に未来を見出せなかったウェスティングハウス社からこの技術を買い取って開発を始めたのです。このように、重要な情報や知識を得ることと、違法なこととを結びつける必要は全くありません。世界中で起こっている変化に鋭く注目し続けることで、合法的に、途方もない程の価値ある情報を得ることが可能なのです。

 

CNBC: アンペックス社とウェスティングハウス社は、自社を守る為に何をすべきだったのでしょうか?

ヘイバーン:彼らが自己防衛のためにすべきだったのは、世界市場における変化や動向への注目でしょう。事実、当時フラットスクリーン技術は既に何年にも渡って開発が続けられていました。最近になってシャープはこの技術上の更なる技術進歩の成果を発表し、それは既に商品化もされています。ウェスティングハウスが見落としたのは、彼らが持っていた技術の活用方法の変化です。故に彼らの情報防衛そのものは、ここでは大きなポイントではありません。いずれにしろ、もし彼らがその技術を自分達で保持し続けていたとしても、結果的にやはり何事もなしえていなかったでしょう。何故なら、もしその技術が利用されたとしても、恐らく彼らはそれによって生じる市場の動向に適応しそこで技術を活用すること行わないからです。

 

CNBC: そのような有益な情報を、企業のために収集し提供する組織は存在しますか?

ヘイバーン: Lexis/ Nexis社等のデータソースを扱う会社を通してオンライン情報を収集することで、企業は自身の情報オペレーションシステムを構築することが出来ます。必要な情報を得るための的確な質問をすることで、彼らは様々な異なる情報源を分類し体系立てて、戦略的な情報をあなたに提供してくれます。

 

CNBC: 企業には、自身の情報が公にされることを防ぐ方法はありますか?

ヘイバーン: 一つのテクニックとして、私達が技術のセグメンテーション(細分化)と呼ぶものがあります。言い換えれば、ある技術に関する全ての情報を外部の1人の人が獲得できないようにするのです。その他にも様々なテクニックがありますよ。例えば、組織情報を戦略グループの近くで管理する手法等ですが、それは又別の機会にお話しましょう!

 

CNBC: 分かりました。ジム、どうもありがとうございました。

ヘイバーン: どうもありがとう、ビル



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