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競争上の優位性を得ることは、戦いの半分でしかありません。この優位性を長く将来に渡って存続できるかが、戦いの勝敗を決定付けるのです。長年に渡る各企業のCEOやトップ経営チームとの戦略構築の取り組みの中で、私達は常に定期的な戦略見直しの必要性を強調してきました。この見直しの為に、組織は戦略の状況を的確にモニターし評価する手段を持つことが必要となります。

前回の記事において私達は、戦略的得点記録システムと呼べるシステムの必要性について明らかにしました。システムは戦略の成果を4つの観点から評価測定するようデザインされなければなりません。まず、従来的な財務面からの評価、顧客満足度評価、そして内部ビジネスプロセスの有効性の3つの観点。これらは組織戦略の実践がこれまでにどの程度の成果を得ているか、そして今後どのように成功し得るかを理解する上で不可欠な手法です。しかしこれから述べる4番目の観点であるイノベーション・組織内の革新は恐らく最も重要なポイントであり、これによって、前述の3つのポイントを適切に機能させることが可能になるでしょう。
ビジネスの成功裏には組織における革新、イノベーションの牽引力がつきものです。これによって企業は、組織が確実に将来的利益を生み出す製品を創造し、適切なサービスを行っていることを確認することが出来ます。
しかしこの企業内のイノベーションをどのように査定すればよいのでしょうか?クライアントの皆様に対して私達は、様々な視点から企業のイノベーションを測定する手法を用いて評価を行っています。勿論他のシステム同様、イノベーションプロセスは一つの基準のみで全体的評価をすることは出来ません。しかし、あなたの組織のイノベーション能力を査定する為に、下記の10の主要な質問に答えてみて下さい。

1. 過去3年間に発表した製品のどれだけが今市場に残っていますか?
この質問は組織における製品発表のサバイバル率を評価するものです。これにより、あなたの組織のイノベーションに対する市場の反応を測定することができます。

2. 当初の予測を上回る収益をあげている新製品がどれだけありますか?
この質問は収益面での製品の成功と、あなたの組織の市場をジャッジする能力を評価するものです。イノベーションとは、効果的なものでなければなりません。

3. それらの新製品からどれだけの総利益を得ていますか?
この質問は、あなたの組織が研究開発(R&D)分野に十分かつ効果的にコストをかけているかを評価するものです。研究開発分野への投資は、確実な利益を生み出す製品に転換されなければなりません。

4. 新製品のみに割り当てられた研究開発費の過去3年間の累計は?
この質問は、組織が研究開発費のどれだけを新しい製品の開発に割り当てているかを図るものです。

5. 新製品のみから生み出された利益の過去3年間の累計は?
この質問は、新製品開発から得られた利益の、総利益に対する割合を比較するものです。組織の成長にとってイノベーションを重要とするならば、この比率は毎年15から25%が適当であると言えるでしょう。

6. 市場に既存の類似製品が存在しない、全く新しい製品の開発に当てられた費用の3年間の累計は?
この質問は、既存の製品ラインの拡大とは異なった全く新しい製品開発への投資レベルを評価するものです。

7. . 新製品から得られた利益のパーセンテージを、下記4タイプのイノベーションに分類して下さい。
世の中に存在しない新製品
自身の会社にとっての新製品
生産ラインの拡大から生まれた新製品
生産ラインの向上から生まれた新製品

組織のイノベーションを生み出す源となるバランスの良いポートフォリオを目指すならば、上記の40%の新製品が“世の中に存在しない新製品”と“自身の会社にとっての新製品”に属するべきです。

8. 年次末の時点で、いくつの新製品コンセプトが開発プロセス上にありますか?
この質問は、あなたの組織の新製品開発ラインの稼働率を示すものです。これによって、開発プロセス上にある新製品からの利益予測が可能になるべきです。

9. 新製品によって得られる従業員一人あたりの年間利益はどのようなものですか?
この質問は、人材配置の効率性とあなたの組織の人材の学習率を評価するものです。組織の知識ベースから生み出されるイノベーションは将来の成功のために非常に重要です。

10. 商品化された新製品からの純利益の過去3年間の累計は?
この質問は、組織内イノベーションによって得られる総合的な利益を表します。これは、過去3年間の新製品からの純利益と、同期間にその新製品開発にかけた費用を切り離すことによって明らかになります。Innovationの著者、トーマス・クツマルスキー氏は、イノベーション(革新)とはそのプロセスであると同時に、マインドセットでもあると述べています。あなた、そして組織とは、自身の思考そのものを基盤とするものなのです。

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